非貿易取引においては、中国国外への外貨支払いに対して源泉税等複雑な問題が絡んできます。税務上は、非貿易取引の「法定申告」と「指定申告」に分けられますが、今回は「指定申告」における手続きの流れと注意点を整理しましたので、ご参考ください。
非貿易外貨支払い業務において、書面の契約書が必須です。外国語の契約書だけで締結される場合は、中国語へ翻訳された書類も用意をしなければなりません。
税務上の契約書では、中国国内における源泉企業所得税(*1)、増値税及びその付加税はどの契約者が負担するのかを明記した方が無難です。
更に英文にて、相手企業の社名・住所、振込銀行名・住所・口座名なども明記した方が無難です。
海外への送金相手が、中国国内に納税番号を所有していない場合、送金する企業の所轄税務局にて送金相手の登録手続きを行い、納税番号を取得しなければなりません。
その登録は下記のネット契約登録と同時に行うことができます。
上記「1.契約」を税務局へ「備案(届出)」します。つまり、税務局にその契約は一つのプロジェクトとして登録する必要があります。
その際に、翻訳された契約書の請求や、税金負担者が明確であるかどうかなどの内容によって、契約の修正や補正を命じられることもあります。それによって、審査の時間が左右されます。
また契約書の登録は、契約書の締結日より30日以内に行わなければなりません。
一般的に、その審査は1、2営業日かかります。
ネットで登録した契約書の審査が完了すると、所轄税務局・担当税務官へ契約書などの紙ベース資料を提出し、次の審査が始まります。その審査の一つの目的は、該当プロジェクトのみなし利益率を確定させることです。(有形)貿易には通関資料によって「原価」の確定がなさされますが、(無形)非貿易においてはこのような明確的な原価がないため、利益は税務担当官が契約内容に基づいてみなし利益率として認定する必要があります。
その審査は一般的に10営業日かかりますが、所轄税務局によって20営業日のところもあります。
契約書の売上及びみなし利益率に基づいて算出された利益に基づいて、源泉企業所得税と増値税及びその付加税の納税申告をします。ネットで申告完了次第税金納付ができます。
これは、一般的に1営業日かかります。
一回の送金額がUSD5万以上の場合、納税申告後、銀行振込の手続き前に、税務局(ネット)で支払い届けをしなければなりません。その後、ネット申告の結果に基づいて税務担当官に該当資料を提出し、支払い許可を取得します。
これは一般的に3、4営業日かかります。税務担当官によっては、もっと長引く場合もあります。
事前に銀行支払いに必要な書類を確認して、提出をします。
銀行にもよりますが、送金手続きは1、2営業日ほどかかります。
以上、ご参考ください。
「法定申告」と「指定申告」の区別、具体的な税金計算方法などについてご不明点等がございましたら、いつでもお気軽に弊社までお問い合わせください。
*1 個人の場合は源泉個人所得税